ドイツのど真ん中!

ドイツのど真ん中、ゲッティンゲンやアイヒスフェルトを紹介しています。

ドイツ、木組みの家の言葉 9 この家は俺のセンスで建てた

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                  Ich bau das Haus nach meinem Sinn.

              Kannst besser Du´s stell ein anderes hinn. 

                俺はこの家を俺のセンスを建てたんだ。お前ならもっと良くできるというのか。

 

ドイツのど真ん中にあるアイヒスフェルト(Eichsfeld)という地域のドゥーダーシュタット(Duderstadt)という町の古い木組みの家の梁に刻まれている言葉。

壁面には鉋(かんな)とコンパスと定規と図面、そして男の人の彫刻も見えます。

この木組みの家の持ち主は大工の親方で自ら建てたのでしょうか。大工の矜恃を感じる言葉で、誇らしげにこんな言葉を梁に彫刻させたのでしょうか。

そして Sinn hinn で韻を踏んでいますね。

ドイツには、このように言葉を梁に彫刻したり、壁に書いたりした古い家があります。

コロナ禍が収まったらドイツにこのような言葉を探しに行きたいものです。

アイヒスフェルトの赤い山 2

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今年のコロナ禍で私たちごく普通の日本人はしばらく海外旅行などできそうもありません。なので、今回のブログもこれまでのストックから。

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ドイツのど真ん中にあるアイヒスフェルト(Eichsfeld)という地域には、草一本生えない山があります。この赤い山の存在については以前にも書きました。2017年の旅でレンタカーを運転中に偶然赤い異様な山塊を見つけ、2018年にゾンネンシュタイン(Sonnenstein)スカイウォーク(Skywalk)から赤い山を撮影しました。    

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上の画像のように村の家々や教会の塔よりもはるかに高いのです。

この不気味な赤い山の正体ですが、自然のものではありませんでした。実は塩化カリウム鉱山の跡なのです。赤い土砂がこれほどうず高く積み上げられたのがアイヒスフェルトの赤い山だったのです。鉱山はすでに閉山となっており、操業はしていませんが、麓のビショファーローデ(Bischofferode)の村には鉱山の歴史を伝える博物館があります。残念ながら昨年、私はキュフホイザー(Kyffhäuser)へ向かっていたので、鉱山博物館に立ち寄ることができませんでした。コロナウイルスの感染が収まり、またドイツのど真ん中へ行けるようになったら、ぜひ見学してみたいと思います。

アイヒスフェルトの赤い山はドイツのここにあります。

レープクーヘンあれこれ 3 アーヘンのプリンテン

コロナウイルスの影響でドイツに行くことは当面できそうもなく、このところずっと食べ物についてのブログが続いています。今回もドイツのお菓子についてお送りします。

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昨年のクリスマス、毎年ドイツのど真ん中の旅でお世話になっているお宅の奥様からシュトレンやレープクーヘンなどと一緒に送っていただいのが、上の画像のプリンテン(Printen)です。元々はドイツの西部のアーヘン(Aachen)で作られており、アーヘナー・プリンテン(Aachener Printen)とも言われます。レープクーヘンの一種とされていますが、プリンテンの方が原形なのだとも言われているようですね。しかし、今は通年でドイツ中のスーパーマーケットで買うことができます。画像のプリンテンはキンクラッツ(Kinkratz)というブランドの物。キンクラッツはランベルツ・グループ(Lambertz-Gruppe)という焼き菓子とチョコレートを製造する企業グループの一つで、以前紹介したレープクーヘンのヘーバーライン・メッツガー(Heaberlein-Metzger)もグループ企業です。

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ニュルンベルクのレープクーヘンが丸い形なのに対して、アーヘンのプリンテンは長方形の薄い板状です。送っていただいたプリンテンはチョコレートでコーティングされています。また、人の形をした物やチョコレートのかかっていない生地の味を味わえるものもあります。

ニュルンベルクのレープクーヘンは私の好物なのですが、シナモンなどのスパイスの香りがきつくて苦手だという人もいます。プリンテンはスパイスの香りが控え目でとても食べやすく、美味しかったです。地味な見た目なので、これまでプリンテンを自ら進んで買うことはなかったのですが、今回プリンテンを再評価することができました。本場のアーヘンには、プリンテンの銘店があるとのことなので、いつか食べてみたいものです。またドイツに行けるようになったら、北ドイツを回りながらアーヘンに行ってみたいですね.

ムッター・ユッテでシュパーゲルのラグー

ドイツの春から初夏の味覚といえば、 シュパーゲル(Spargel: アスパラガス、特に白いアスパラ)です。

しかし、今年2020年は新型コロナウイルスの影響で私たち日本人がドイツに旅行して美味しいシュパーゲルを食べることはかないません。また、ドイツ国内でもシュパーゲルの収穫に影響が出ているようです。というのも、シュパーゲルの収穫はポーランドなどの東欧諸国からの季節労働者や学生のアルバイトによって行われるもので、東欧の労働者がドイツにやって来ることもできず、また学生も自宅にいなければならず、農家はシュパーゲルを腐らせてしまっているという新聞の記事も目にしました。

今回のシュパーゲルについてのブログは、昨年2019年のドイツの旅のストックからです。

昨年6月のある日曜日にゲッティンゲン近郊のブレムケ(Bremke)という村にある森の舞台(Waldbühne Bremke)に野外劇を観に出かけましたが、あいにく前日の土曜日から雨が降ったり止んだりで、上演は中止となってしまいました。昼も過ぎており、ちょうどお腹も空いていたので食事をすることにしたのです。

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そこで入ったのが、上の画像の木組みの家のガストハウス・ムッター・ユッテ(Gasthaus Mutter Jütte)です。日本語で「ユッテ母さんのガストハウス」ということにでもなるでしょうか。ガストハウスのガストは、ドイツ語でゲストの意味で、レストランも兼ねた旅館です。このガストハウス・ムッター・ユッテも泊まることができます。ムッター・ユッテですが、実はゲッティンゲン市民からも愛される名店。以前からその存在は知っており、アイヒスフェルトに出掛けるたびに前を通っていたのですが、昨年の旅で初めて訪れました。

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シュパーゲルの旬ということもあり、シュパーゲルのラグーとミートボール(Spargelragout mit Mettbällchen)をいただきました。シュパーゲルとミートボールのホワイトソースの煮込みとでもいうのでしょうか。付け合わせに塩茹でのじゃが芋がたっぷり付いてきます。

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ラグーには、珍しく緑のアスパラも入っていました。ミートボールもドイツ人向けサイズで日本の物よりも一回りも二回りも大きく、食べ応えがありました。とても美味しかったですよ。撮影はしませんでしたが、デザートにアイスクリームも付いてきます。すごい満腹になりました。因みに車で来たので、アルコールフリーのビールも飲みました。

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ムッター・ユッテには、中庭に面した席もあり、緑を眺めながら食事できるのも素敵ですね。

近年、ゲッティンゲン市内でいい雰囲気で美味しいドイツ料理を出すレストランが減ってきているように思いますが、むしろ郊外にあるレストランで美味しいドイツ料理を食べられる傾向にあるようです。

コロナウイルスの感染が収まり、来年のシュパーゲルのシーズンにまた食べに行きたいものです。ブレムケ森の舞台にお芝居で観て、ムッター・ユッテに一泊するのもいいかもしれませんね。

ガストハウス・ムッター・ユッテは、ドイツのここにあります。

ドイツ、木組みの家の言葉 8 賢者と愚者の行い

コロナ禍で大いに混乱するこのご時世に示唆に富むドイツの言葉があります。

2018年のドイツの旅で、ニーダーザクセン州ホルツミンデン(Holzminden)という町で見つけた言葉です。

f:id:Thosomich:20200514100911j:plainSIEH WAS DIE WEISEN TUN UND SIEH WAS DIE TOREN TREIBEN UND TU´ DAS EINE NACH UND LASS´ DAS ANDERE BLEIBEN

見よ、賢い者が何をするのか、見よ、愚か者が何をしでかすのか。そしてその一つに倣い、残りは放っておけ

未知の新型コロナウイルスが蔓延し、混沌とする社会では、その人の本質が見えてくるものです。賢明に働く医療関係者やその家族を差別したり、誹謗中傷するなんて、愚か者の行為ですね。決して真似したくはありません。

この言葉は以前紹介したゲーテの言葉が刻まれているホルツミンデンの手工業者の家(Haus des Handwerks)の一番下の梁に見つけることができます。ただし、今回の言葉は読み人知らずのようです。

ドイツの古い木組みの家には、現代にも通ずる警句が梁に彫刻されていたり、壁に書かれています。こうした言葉を探してドイツを旅するのも楽しいですね。新型コロナウイルスの感染拡大が収まったら、またドイツに行きたいものです。

ホルツミンデンはドイツのここにあります。

アインベックのマスタードスープ 改良版

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新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛がずっと続いていますが、アインベックのマスタードスープ(Einbecker Senfsuppe)を改めて作りました。作るからには前回よりも美味しくしようとあれこれ試みました。

そのために、今回は材料のセロリと長ネギをフードプロセッサーにかけて、舌触りをよくします。

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そして今回はレシピどおりに、玉ねぎではなくエシャロットを使いました。エシャロットをみじん切りにし、フードプロセッサーにかけたセロリ とネギと一緒にオリーブオイルで炒めます。

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野菜に火が通ったら、マスタードと塩、胡椒、砂糖を加えて5分ほど炒めます。そして、小麦粉を粉ふるいにかけてまぶしていきます。それから3回に分けて白ワインで伸ばしていきます。

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さらに水1リットルと野菜ブイヨンを加えて、半分くらいの量になるまで煮詰めていきます。

前回はカロリーを気にして植物性脂肪も入っているクリームを使いましたが、今回はより濃厚になるように100%乳製品の生クリームを加えて、20分コトコト火にかけます。最後に塩や胡椒、砂糖、マスタードで好みに味になるように調整します。

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前回はサワークリームを浮かべましたが、今回はバターをひとかけ落とします。

また、クルトンと刻んだパセリをのせます。そして、レモンを絞って味を引き締めます。

セロリと長ネギをペースト状にしたおかげで滑らか、乳製品の生クリームにしたことでグッと深みが増しました。前回のマスタード スープよりもだいぶ美味しくなりました。

コロナウイルスへの緊急事態宣言が延長されて、外出自粛もまだまだ続きそうです。家にいてこんな変わったドイツ料理を作ってみるのもいいかもしれませんね。

マスタードのスープはアインベックだけでなく、デュッセルドルフなどにもあるようなので、外出自粛のこの時期に作ってみようと思います。

マリウス・ミュラー・ヴェスターンハーゲン Wieder hier

今年のゴールデンウィークは、新型コロナウイルスの拡大で旅行や遠出はしないで家にいることが進められていますね。感染者がとりわけ多い東京や首都圏は「ステイホーム週間」がテレビやラジオで盛んに叫ばれています。

今回のブログはそんな家にいることが求められる時期にぴったりのドイツの歌をアップしてみようと思います。


www.youtube.com

マリウス・ミュラー・ヴェスターンハーゲン(Marius Müller Westernhagen)というドイツのロックシンガーの"Wieder hier(ヴィーダー・ヒア)"です。

Wieder hier とは、ドイツ語で再びここにという意味で、1998年にドイツで大ヒットした曲で今でもドイツでラジオを聴いていると、よく流れてきます。ヴェスターンハーゲンの太く嗄れた声で歌われる珠玉のバラードで、D-POPの名曲と言っていいでしょう。

愛する女の元に戻ってくる男の歌で、サビの一節で、

                                Und dann bin ich mir sicher

                                   Wieder zu Hause zu sein

                   (俺にとって確かなのは

               再び家にいるということだ)

と歌っています。この Wieder zu Hause zu sein(再び家にいる)というフレーズがコロナ禍のステイホーム週間にはうってつけではないでしょうか(笑)。ドイツ語が分からなくても美しいメロディーの耳に残る一曲ではないでしょうか。

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