ドイツのど真ん中!

ドイツのど真ん中、ゲッティンゲンやアイヒスフェルトを紹介しています。

ザルツデアヘルデン、製塩所の塔が焼失

f:id:Thosomich:20200712175355j:plain

昨年、2019年のドイツの旅で訪れたザルツデアヘルデン(Salzderhelden)にある製塩所の掘削塔が先々週の金曜日の夜に放火によって完全に焼失してしまいました。地名のザルツデアヘルデンとはドイツ語で「英雄たちの塩」という意味で、昔から塩を取れたということが分かります。しかしドイツのど真ん中、つまりヨーロッパの内陸部にあるこの製塩所では、海水から塩を作るのではなく、地中360メートルから塩分を含んだ水を汲み上げて製塩していました。

焼失前の掘削塔は1882年に建てらたものですが、1963年には製塩所は操業を停止しており、現在は地元の歴史的、文化的な建築物として公開されていました。

少し前にゲッティンゲンの新型コロナウイルスの集団感染をブログに書きましたが、その後どういう経過なのかを知ろうとゲッティンゲンの地元紙のサイトを見ていたら、この掘削塔の放火焼失の報を知りました。さらにくわしくは、アインベック(Einbeck)の地元紙、アインベッカー・モルゲンポスト(Einbecker Morgenpost)紙の記事でご覧になれます(ドイツ語)。また、NDR(北ドイツ放送)のサイトで火事の動画を見ることができます。

ザルツデアヘルデンの村はアインベック市の一部なのですが、最近アインベックでは、古着を回収するコンテナが放火されるなどの連続放火事件が起きており、容疑者の女が逮捕されたそうです。

2000年代の前半には、ゲッティンゲンの聖ヨハニス教会の尖塔が放火されるという事件も起きました。

昨年訪れて、ブログに紹介した建物がこんな愚かしいことでなくなってしまったことは大いにショックで残念でなりません。

話は変わりますが、ゲッティンゲンでの集団感染は落ち着きを取り戻しているというメールを現地在住の友人からもらいました。その友人は昨日から2週間の予定で地中海にあるスペインの島にバカンスに出かけてしまいました。コロナ禍が完全に収束していないのに、EU域内とはいえ、外国旅行に出掛けるとは友人のことが少々心配です。

ヒムベアー(Himbeere) のジャム 2020

f:id:Thosomich:20200706153426j:plain

7月からEUの圏内に私たち日本人が再び入国できるようになりましたが、新型コロナウイルス感染症が収まってはいないので、ドイツやヨーロッパに行くことはまだ現実的ではありません。

しかし、そんなコロナの夏にあってもドイツの味覚は楽しみたいものです。毎年春から夏にドイツを訪れると、私はヒムベアー(Himbeere:キイチゴ)を堪能します。ドイツに行くことができない今年の夏はヒムベアーのジャムでどうにか凌いでいます。このジャムは、昨年のクリスマスに毎年ご厄介になっているゲッティンゲンの奥様から送っていただいたプリンテンシュトレンに同梱していただいたものです。EDEKA(エーデーカー)というスーパーマーケットのプライベートブランドの製品ですが、ラベルに Bio とプリントされているので、有機農法によって栽培されたキイチゴということでしょう。

f:id:Thosomich:20200706155425j:plain

先日送っていただいたヒムベアーのジャムを開けて、このところ朝食のトーストに塗って食べています。パンはスーパーで売っているごく普通の食パンです。

f:id:Thosomich:20200706160158j:plain

しかし、時にはドイツ風にライ麦のパンにヒムベアーのジャムを塗って食べます。酸っぱいライ麦パンに甘酸っぱいヒムベアーは相性が良く、酸味の相乗効果でとても美味しいですよ。

このパンは主に東京にある紀ノ国屋というスーパーのベーカリーやパン売り場で買うことのできるハパン・ルイス・ヴォッカというフィンランド風のパン。紀ノ国屋ではドイツのパンも各種売っているのですが、このフィンランドパンはドイツで食べるライ麦によく似た味で、お店によっては半斤に切って売られており、170円と値段もかなりお得でとても気に入っています。

f:id:Thosomich:20200706161559j:plain

ヒムベアーですが、日本でいうキイチゴ。ということは、日本国内にも自生していますし、栽培している方もいるでしょう。先日、身近な人が庭に自生しているキイチゴを収穫して、ジャムを作ってくれました。手作りのジャムはドイツのヒムベアージャムに比べてかなり酸っぱめですが、爽やかでとても美味しいです。ジャム作りの趣味がある方はトライしてみてもいいのではないでしょうか。

2020年の夏は、ドイツに行けないフラストレーションをヒムベアーのジャムでどうにかなだめています。またドイツに行ってヒムベアーのケーキを思う存分食べたいものです。

ゲッティンゲンのクラスター

                                            f:id:Thosomich:20200701105550j:plain

日本ではあまり報じられなかったようですが、先月の終わりから今月にかけてドイツのど真ん中、ゲッティンゲンで新型コロナウイルスの100人を超える大規模な集団感染が起きていました。人口が13万人ほどのゲッティンゲンで100人超の感染はかなりの衝撃だったでしょう。

クラスターが発生したのは、以前このブログで紹介したゲッティンゲン市内のメルヘン街道の標識のすぐに近くにある高層アパート。ゲッティンゲン大学のキャンパスであるプラッツ・デア・ゲッティンガー・ズィーべン(Platz der Göttinger Sieben: ゲッティンゲン七教授の広場)の道路を挟んだ向かい側で、1階にはお洒落なカフェ・レストランやダンスを楽しめるクラブ(ディスコ)も入る建物です。イスラム教のラマダーン断食月)明けのパーティーや水タバコでウイルスの感染が一気に拡大したようです。また、ゲッティンゲンの駅を挟んだちょうど反対側にある別の高層アパートでもクラスターが発生しました。自宅待機が緩和され社会生活が再開されると、何かのきっかけに一気に感染は広まり、新型コロナウイルスは恐るべしです。

また、ゲッティンゲン以外にドイツ西部のノルトライン・ヴェストファーレン州の食肉工場でも1000人を超える大規模なコロナウイルスの集団感染も起きています。食肉工場では低賃金の外国人労働者が大勢働いていたようです。アメリカからはじまり世界に拡大した人種差別反対デモですが、ドイツではコロナが絡んだ人種や民族、宗教への差別が起きるのではないかと心配になります。

ドイツは新型コロナウイルスに対して感染が広がる前に備えて、十分な病床を確保していたとイタリアやフランス。スペインに比べて高く評価されていたので、このゲッティンゲンでのクラスターは驚きでした。

今日で6月も終わり、2020年も折り返しです。日本人のEUへの入国もそろそろ認められそうですが、ワクチンや特効薬がまだ開発されていないこの状態でドイツを旅してもきっと楽しくはないでしょうね。マスクをつけてドイツ旅も本望ではありません。残念ながら今年はドイツのど真ん中へ行けないかもしれませんね。コロナが一日も早く収まるといいのですが……

ドイツ、木組みの家の言葉 9 この家は俺のセンスで建てた

f:id:Thosomich:20200617153501j:plain    

                  Ich bau das Haus nach meinem Sinn.

              Kannst besser Du´s stell ein anderes hinn. 

                俺はこの家を俺のセンスを建てたんだ。お前ならもっと良くできるというのか。

 

ドイツのど真ん中にあるアイヒスフェルト(Eichsfeld)という地域のドゥーダーシュタット(Duderstadt)という町の古い木組みの家の梁に刻まれている言葉。

壁面には鉋(かんな)とコンパスと定規と図面、そして男の人の彫刻も見えます。

この木組みの家の持ち主は大工の親方で自ら建てたのでしょうか。大工の矜恃を感じる言葉で、誇らしげにこんな言葉を梁に彫刻させたのでしょうか。

そして Sinn hinn で韻を踏んでいますね。

ドイツには、このように言葉を梁に彫刻したり、壁に書いたりした古い家があります。

コロナ禍が収まったらドイツにこのような言葉を探しに行きたいものです。

アイヒスフェルトの赤い山 2

f:id:Thosomich:20200613173644j:plain

今年のコロナ禍で私たちごく普通の日本人はしばらく海外旅行などできそうもありません。なので、今回のブログもこれまでのストックから。

f:id:Thosomich:20200613163729j:plain

ドイツのど真ん中にあるアイヒスフェルト(Eichsfeld)という地域には、草一本生えない山があります。この赤い山の存在については以前にも書きました。2017年の旅でレンタカーを運転中に偶然赤い異様な山塊を見つけ、2018年にゾンネンシュタイン(Sonnenstein)スカイウォーク(Skywalk)から赤い山を撮影しました。    

f:id:Thosomich:20200613161514j:plain

上の画像のように村の家々や教会の塔よりもはるかに高いのです。

この不気味な赤い山の正体ですが、自然のものではありませんでした。実は塩化カリウム鉱山の跡なのです。赤い土砂がこれほどうず高く積み上げられたのがアイヒスフェルトの赤い山だったのです。鉱山はすでに閉山となっており、操業はしていませんが、麓のビショファーローデ(Bischofferode)の村には鉱山の歴史を伝える博物館があります。残念ながら昨年、私はキュフホイザー(Kyffhäuser)へ向かっていたので、鉱山博物館に立ち寄ることができませんでした。コロナウイルスの感染が収まり、またドイツのど真ん中へ行けるようになったら、ぜひ見学してみたいと思います。

アイヒスフェルトの赤い山はドイツのここにあります。

レープクーヘンあれこれ 3 アーヘンのプリンテン

コロナウイルスの影響でドイツに行くことは当面できそうもなく、このところずっと食べ物についてのブログが続いています。今回もドイツのお菓子についてお送りします。

f:id:Thosomich:20200529153452j:plain

昨年のクリスマス、毎年ドイツのど真ん中の旅でお世話になっているお宅の奥様からシュトレンやレープクーヘンなどと一緒に送っていただいのが、上の画像のプリンテン(Printen)です。元々はドイツの西部のアーヘン(Aachen)で作られており、アーヘナー・プリンテン(Aachener Printen)とも言われます。レープクーヘンの一種とされていますが、プリンテンの方が原形なのだとも言われているようですね。しかし、今は通年でドイツ中のスーパーマーケットで買うことができます。画像のプリンテンはキンクラッツ(Kinkratz)というブランドの物。キンクラッツはランベルツ・グループ(Lambertz-Gruppe)という焼き菓子とチョコレートを製造する企業グループの一つで、以前紹介したレープクーヘンのヘーバーライン・メッツガー(Heaberlein-Metzger)もグループ企業です。

f:id:Thosomich:20200529153456j:plain

ニュルンベルクのレープクーヘンが丸い形なのに対して、アーヘンのプリンテンは長方形の薄い板状です。送っていただいたプリンテンはチョコレートでコーティングされています。また、人の形をした物やチョコレートのかかっていない生地の味を味わえるものもあります。

ニュルンベルクのレープクーヘンは私の好物なのですが、シナモンなどのスパイスの香りがきつくて苦手だという人もいます。プリンテンはスパイスの香りが控え目でとても食べやすく、美味しかったです。地味な見た目なので、これまでプリンテンを自ら進んで買うことはなかったのですが、今回プリンテンを再評価することができました。本場のアーヘンには、プリンテンの銘店があるとのことなので、いつか食べてみたいものです。またドイツに行けるようになったら、北ドイツを回りながらアーヘンに行ってみたいですね.

ムッター・ユッテでシュパーゲルのラグー

ドイツの春から初夏の味覚といえば、 シュパーゲル(Spargel: アスパラガス、特に白いアスパラ)です。

しかし、今年2020年は新型コロナウイルスの影響で私たち日本人がドイツに旅行して美味しいシュパーゲルを食べることはかないません。また、ドイツ国内でもシュパーゲルの収穫に影響が出ているようです。というのも、シュパーゲルの収穫はポーランドなどの東欧諸国からの季節労働者や学生のアルバイトによって行われるもので、東欧の労働者がドイツにやって来ることもできず、また学生も自宅にいなければならず、農家はシュパーゲルを腐らせてしまっているという新聞の記事も目にしました。

今回のシュパーゲルについてのブログは、昨年2019年のドイツの旅のストックからです。

昨年6月のある日曜日にゲッティンゲン近郊のブレムケ(Bremke)という村にある森の舞台(Waldbühne Bremke)に野外劇を観に出かけましたが、あいにく前日の土曜日から雨が降ったり止んだりで、上演は中止となってしまいました。昼も過ぎており、ちょうどお腹も空いていたので食事をすることにしたのです。

f:id:Thosomich:20200520100059j:plain

そこで入ったのが、上の画像の木組みの家のガストハウス・ムッター・ユッテ(Gasthaus Mutter Jütte)です。日本語で「ユッテ母さんのガストハウス」ということにでもなるでしょうか。ガストハウスのガストは、ドイツ語でゲストの意味で、レストランも兼ねた旅館です。このガストハウス・ムッター・ユッテも泊まることができます。ムッター・ユッテですが、実はゲッティンゲン市民からも愛される名店。以前からその存在は知っており、アイヒスフェルトに出掛けるたびに前を通っていたのですが、昨年の旅で初めて訪れました。

f:id:Thosomich:20200520100011j:plain

シュパーゲルの旬ということもあり、シュパーゲルのラグーとミートボール(Spargelragout mit Mettbällchen)をいただきました。シュパーゲルとミートボールのホワイトソースの煮込みとでもいうのでしょうか。付け合わせに塩茹でのじゃが芋がたっぷり付いてきます。

f:id:Thosomich:20200520100014j:plain

ラグーには、珍しく緑のアスパラも入っていました。ミートボールもドイツ人向けサイズで日本の物よりも一回りも二回りも大きく、食べ応えがありました。とても美味しかったですよ。撮影はしませんでしたが、デザートにアイスクリームも付いてきます。すごい満腹になりました。因みに車で来たので、アルコールフリーのビールも飲みました。

f:id:Thosomich:20200520100017j:plain

ムッター・ユッテには、中庭に面した席もあり、緑を眺めながら食事できるのも素敵ですね。

近年、ゲッティンゲン市内でいい雰囲気で美味しいドイツ料理を出すレストランが減ってきているように思いますが、むしろ郊外にあるレストランで美味しいドイツ料理を食べられる傾向にあるようです。

コロナウイルスの感染が収まり、来年のシュパーゲルのシーズンにまた食べに行きたいものです。ブレムケ森の舞台にお芝居で観て、ムッター・ユッテに一泊するのもいいかもしれませんね。

ガストハウス・ムッター・ユッテは、ドイツのここにあります。