今日は、日本は終戦の日ですが、ドイツのど真ん中の終戦や戦後について書いてみようと思います。
8月は先の大戦を扱ったドラマや映画がテレビで度々放送されます。そこには、大陸や南洋の島などから復員してきた日本兵や満州から引き揚げてきた日本人が描かれることがあります。
日本と同じく戦争に負けたドイツではどうだったのでしょう?
ドイツのど真ん中にある大学町ゲッティンゲン。その少し南にフリートラント(Friedland)という小さな町があり、町を望む丘の上に巨大な戦争記念碑があります。
昨年、2018年冬のドイツの旅で私はその記念碑を訪れました。この巨大な記念碑は、ドイツが第2次世界大戦で負けたことにより帰還したドイツ軍兵士や東ヨーロッパで住む場所を追われ当時の西ドイツにやって来たドイツ人やドイツ系の人たちによって建てられたものです。
今年初夏のドイツの旅では、フリートラントの町にある戦後の帰還兵や西ドイツに帰還した人たちをテーマにした「フリートラント博物館(Museum Friedland)」を訪ねてみました。
フリートラント博物館はフリートラントの駅舎に併設された建物にあります。
ホーム側からも駅舎と博物館を撮影しました。駅舎の2階部分も博物館の展示スペースとなっています。
この駅に東ヨーロッパの戦場やドイツ領だった地域などからたくさんのドイツ人がたどり着きました。
フリートラントには、ロシアやポーランドなど東欧から帰還したドイツ人たちを収容するキャンプが設けられました。そして博物館には、帰還した人たちの写真や書類、持ち物などの史料が展示されています。ほぼ着の身着のまま、命からがらフリートラントにたどり着いた人たちの眼鏡や子供のぬいぐるみなどがありました。
また、東欧から帰還したドイツ人を迎える当時の貴重な映像を見ることや帰還者の証言を聴くこともできます。いろいろなことを考えさせられる、なかなか重たいテーマの博物館ですが、ぜひ足を運ぶことをお勧めします。戦後のドイツ史の1ページを学べる博物館です。
さて、戦後すぐにフリートラントにできた西ドイツへの引き揚げ者を収容したキャンプですが、実は今もなお存在し、機能しているのです。
フリートラント博物館から歩いて3分ほどにあるこの施設に現在難民を収容する施設となっています。
ゲートが下りて物々しい雰囲気ですが、日曜日ということで職員の姿もなく、ノーチェックで立ち入ることができました。難民の方たちのプライバシーもあり、撮影はしませんでしたが、この日は難民を支援する団体が主催するお祭りが開かれていました。
東欧から帰還したドイツ人を収容したキャンプはこれまでに閉鎖されそうになったのだそうですが、東西冷戦の終結や中東方面での戦争やテロなどがあり、現在まで存続して来ました。今も東欧や中東からの難民の人たちが生活をしています。
余談になりますが、以前紹介したモーリンゲン(Moringen)にあったナチスの強制収容所も一時東欧などから帰還したドイツ人を収容するキャンプとして利用されていました。
フリートラント博物館はドイツのここにあります。
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フリートラント博物館への行き方は、ゲッティンゲン駅よりカッセル方面行きのローカル列車(RB)に乗り、フリートラント(Friedland)で下車。駅の隣が博物館です。
博物館のホームページはこちらをクリック。入館料は大人が5ユーロです。