今からちょうど30年前、1989年11月9日にベルリンの壁が崩壊しました。若かった私は熱い思いでその模様をブラウン管のテレビで見ていたものです。時代の歯車がダイナミックに動く、まさにパラダイムを見せつけられたようでした。
その翌年、東西のドイツは再統一しました。そして雪崩を打つように共産主義の東欧諸国で政変や革命が起こり、とうとうソ連まで崩壊しました。
当時がいかに激動の時代であったのかを現在の20代やティーンエージャーに話してみても、きっと理解はしてもらえないことでしょうね。
さて、今年の6月に私はドイツのど真ん中を訪れました。ドイツのど真ん中とは言いますが、冷戦時代の頃は実は東西両ドイツそれぞれの辺境であったわけです。2つのドイツが統一されてドイツのど真ん中になったということですね。
旅の拠点であるゲッティンゲンの町から車で東に35kmも行けば、かつての東西ドイツの国境だった地点にたどり着きます。
今年の旅でも旧両ドイツ国境を何度もまたいで来ました。上の画像はたびたび紹介しているかつての国境の町だったニーダーザクセン州のドゥーダーシュタット(Duderstadt)から東に向かい、テューリンゲン州のエックリンゲローデ(Ecklingerode)にあった旧国境で、現在は2つの州の州境です。この辺りはアイヒスフェルト(Eichsfeld)と呼ばれる地域で、東西ドイツにまたがる地域でした。
白地に茶色に標識がかつての東西ドイツの国境だったことを示しています。ヨーロッパが分断されているのが描かれていますね。
ここでドイツと
ヨーロッパは1989年11月18日
午前6時まで分断されていた
と標識には書かれています。
ベルリンの壁崩壊の11月9日ですが、この道路は主要な幹線道路ではないので、11月18日にようやく国境が解放されたのでしょうね。
以前紹介したアイヒスフェルト国境地帯博物館付近の旧国境は11月10日の午前0時35分に解放され、またゲッティンゲン近郊のフォーゲルザンク(Vogelsang)にあった国境は11月9日午前10時15分に撤廃されました。
30年後の今年の初夏、かつて固く閉ざされていた東西ドイツの国境だった場所の自転車で颯爽と駆け抜けていく人たちがいました。もちろん監視やチェックもなく行き来することができます。
最近、東ドイツでは極右政党のAfD(ドイツのための選択肢)が台頭してきて、何かと不穏な動きもあるようです。ベルリンの壁崩壊から30年、平和なドイツであることを願うばかりなのですが。
今回紹介した旧東西ドイツの国境はここにあります。