私には時々、無性に聞きたくなるドイツ語の歌があります。
ヘルベルト・グレーネマイヤー(Herbert Grönemeyer)というドイツの男性ロックシンガーの"Der Weg"と"Demo (Letzter Tag)" という歌です。
グレーネマイヤーは俳優としても活動しており、ドイツの潜水艦映画『U・ボート』にも出演。空襲で破壊された壊滅したキールの港に潜水艦が帰還し、呆然とする将校役を演じています。
2002年、当時私がゲッティンゲンで生活していた頃、ヘルベルト・グレーネマイヤーの "Der Weg" というバラードがドイツで大ヒットし、連日MTVでミュージックビデオが流れていました(Der Weg はドイツ語で「道」という意味です)。
Herbert Grönemeyer - Der Weg (Official Music Video)
この曲がヒットする数年前、ヘルベルト・グレーネマイヤーは実の兄弟と最愛の妻を数日間のうちに相次いで亡くすという悲劇に見舞われました。彼は打ちのめされてしばらく立ち直ることができませんでした。その後グレーネマイヤーは再起し、"Der Weg"という亡くなった妻へ捧げる歌を発表しました。
この頃の私も、ドイツで一人とても孤独だった時期で、グレーネマイヤーの歌を聴くたびに泣きそうになっていました。
歌の冒頭、
とヘルベルト・グレーネマイヤーは深い絶望の淵にあります。
歌を聴き進めていくと最後に、
という誓いで締めくくっています。
"Der Weg"が収録された"Mensch"というアルバムに収録されている"Demo (Letzter Tag)"
という歌は、深い悲しみからの回復と妻への愛をさらに感じさせます。
歌のサビで、
Ich bin dein siebter Sinn
Dein doppelter Boden
Dein zweites Gesicht
おれはおまえの七番目の感覚、
おまえにとっての、重なる大地、
おまえのもう一つの顔
と高らかに歌い上げ、大いに希望を感じさせています。
私もこの歌に何度も慰められたものです。
ドイツ語の歌ですが、深い悲しみと大いなる希望を感じ取れるのではないかと思います。
蛇足になりますが、ヘルベルト・グレーネマイヤーは、実はゲッティンゲンで生まれです(ただし、生後4ヶ月でボーフム(Bochum)という町に両親が引越しをしていますが……)。
ほんのわずかですが、ドイツのど真ん中に縁があるわけですね。