ドイツの真ん中あたりにあるハルツ山地には怪しさ満点のエンドウ豆のスープ屋さんがあります。スキーリゾート地のブラウンラーゲ(Braunlage)の町と旧東ドイツのエーレント(Elend)という村の間、B27(連邦道27号線)沿いの森の中、ドアも窓もない粗末な掘っ建て小屋がそのお店です。
私が以前、ドイツに住んでいた2000年代のはじめからこのエンドウ豆スープ屋さんのことを認識しており、ずっと気になっていました。今年春の旅でようやくこの怪しい店を訪れ、エンドウ豆スープを食べることができました。
昨年2017年の旅でも紹介した通り、エンドウ豆のスープ(Erbsensuppe)は見た目はあまりよくないのですが、ドイツのソウルフードではないかと思うくらいに食べてみると意外にも美味しいスープです。
そのエンドウ豆スープの専門店がワイルドさと怪しさたっぷりの“KUKKI’s Erbsensuppe(クッキース・エアプセンズッペ:「クッキーさんのエンドウ豆スープ屋さん」)”。
ドアも窓もない掘っ建て小屋にはトラックとトレーラーが収まっています。飲食店というよりはむしろガレージです。トレーラーは「フィールドキッチン」または「グーラシュカノーネ」という軍隊で兵士が戦場などの野外で温かい食事が摂れるように作られた野戦炊事車で、トレーラーが丸ごと大きな鍋とコンロになっていると考えていいでしょう。日本でも自衛隊がフィールドキッチンを装備しているようですね。
エンドウ豆スープ屋さんのフィールドキッチンが掘っ建て小屋に囲まれて、うまく撮影できなかったので、4月30日のハルツ山地の魔女や悪魔が集うという「ヴァルプルギスの夜」の祭りに出動していたフィールドキッチンの画像をアップします。煙突が付いており、これで熱々のスープも調理できるわけですね。
ドイツ語では Gulaschkanone(グーラシュカノーネ)ともいい、ハンガリー風の「グラーシュ」というスープの大砲というのは、言い得て妙だと納得してしまいました。
ワイルドで屈強な感じの男性の店員さんに「グーラシュ砲」から熱々のエンドウ豆スープをよそってもらい、屋根だけ掛かったテーブルとベンチで食べました。
クッキーさんのエンドウ豆スープはこれまで食べてきたのとはちがい、かなりスパイシーな味付けでとても美味しかったです。
ご覧のようなソーセージ入りのエンドウ豆スープが4.50ユーロ。ソーセージなしが3ユーロ。豆スープ以外に鱒など魚の燻製を食べることもできます(一番上の画像、掘っ建て小屋ガレージ左のトレーラーの荷台が燻製器になっています)。
また、缶詰めのエンドウ豆スープを買うこともでき、インターネット販売もしています(ただし、日本への送料がいくらかかるかは不明。お店で直接買うか、ドイツ国内で取り寄せて日本へのお土産にすることをお勧めします)。