ドイツのど真ん中!

ドイツのど真ん中、ゲッティンゲンやアイヒスフェルトを紹介しています。

サブリの引退 馴染みのトルコ料理店が店じまい

ドイツのど真ん中のアイヒスフェルト(Eichsfeld)という地域の中心的な町、ドゥーダーシュタット(Duderstadt)にある馴染みのトルコ料理店が店じまいをした、と同じドゥーダーシュタットに住む友人でイラストレーターのアクセルからメールが入りました。

1999年ごろにたまたま立ち寄って食べたドゥーナー・ケバブがとても美味しくて、以来20足繁く通ったお店でした。

2005年に日本に帰国し、それ以後あまりドイツに行く機会もほとんどなくなってしまったのですが、一昨年2016年に9年ぶりドイツを旅して、どうにか旅程をやりくりしてドゥーダーシュタットに足を伸ばして、ケバブを食べに行きました。それから年に一度はドイツで一番美味しいトルコ料理を食べに行くようにしていました。

店の主人のサブリは、いま日本でも問題になっている、外国人労働者にして移民です。

ドイツ語では、ガストアルバイター(Gastarbeiter)と呼ばれるトルコからの労働者でした。そして移民1世。彼の人生について私は多くを知りません。立ち入って聞くこともしてきませんでしたが、話の端々にトルコからの移民として差別されたことは当然感じ取ることができました。また、彼はドイツで同じ外国人である私にいつも優しく接してくれたものです。

ドイツでトルコ移民が商売をするのはいろいろと苦労もあったようですが、長年トルコ料理屋を営み、彼は町に溶け込み、町の人からも愛されていました。店にやってくるドイツ人の客には、「シェフ!(Scheff:ドイツ語でボス、社長というような意味)」と声をかけていました。もちろん、相手は社長なんかではありません。外国人がドイツで生きて行く上での彼なりの処世術だったのでしょう。


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ある時、私のとても大事な友だちが日本に帰国してしまい、私は急に孤独になってしまいました。そしてサブリの店によく入り浸ってました。そこで新たにドイツ人の親友にも出会えました(残念ながらその親友は2012年に癌で亡くなりました)。

春から秋、サブリの店は道路にまでテーブルが張り出します。木組みの家が立ち並ぶ静かな路地のオープンテラスは私の大好きな場所で、晴れた日に日除けのパラソルの下でビールやチャイ(トルコ紅茶)を飲むのがとても気持ちよかったものです。

サブリも70歳を過ぎて健康面でいろいろと問題を抱えて、商売を続けるのも難しくなり、毎年訪れる度にそろそろ引退するつもりだと語っていました。今年春にサブリの店で彼のケバブを食べて、あともう一度くらいこのケバブを食べられるだろうと楽観的に考えていましたが、思いの外早く彼の引退がやって来てしまいました。

ドゥーダーシュタットで長く愛されたトルコ料理店の閉店をゲッティンゲンの地元の新聞でも報じています:http://www.goettinger-tageblatt.de/Die-Region/Duderstadt/Die-Region/Duderstaedter-Kult-Kneipe-macht-weiter-unter-neuem-Inhaber

馴染みのトルコ料理店は店じまいしてしまいましたが、店舗をそのままレバノン人の料理人が引き継ぎ、店名にはサブリの名前が残っているそうです。サブリのケバブがもう食べられませんが、一度ドイツのど真ん中でレバノン料理も食べてみようと思います。