ドイツのど真ん中から少し北にあるアインベック(Einbeck)という町にある自動車・二輪車の博物館「PS.SPEICHER(ペーエス・シュパイヒャー)」の常設展示をのぞいてみましょう。
このPSシュパイヒャーは車とバイクの歴史を体験するのがコンセプトで、その時系列をたどるために画像右の煉瓦造りの建物の6階までエレベーターでまず上り、見学しながら1階へと下りてきます。つまり6階まで上がるエレベーターはタイムマシンの役割をしています。
6階から遡る自動車と二輪車の歴史は、人間が歩くことから解放されながらも自分の力で走ることができるのということからスタートします。すなわちそれは自転車のことです。
上の画像の自転車は地面を足で蹴って走行するタイプで、ドイツの貴族で発明家でもあったドライス男爵が発明し、1817年から1820年ごろに製作された Laufmaschine(ラウフマシーネ)といいます。日本語に文字通り訳すと、走行マシーンです。発明した男爵の名前からドライジーネ(Draisine)とも呼ばれているようです。
やがて、私たちも何かで見たことのある、大きな径の前輪をペダルで回転させる自転車やチェーンで動力を伝えて走る自転車が登場します。
そして、エンジンを載せた二輪車が登場。何と、車輪とフレームが木製ですね。
後ろのパネルには「ダイムラー対ベンツ(DAIMLER VERSUS BENZ)」とあり、この木製の二輪車はダイムラーのライトヴァーゲン(Daimler Reitwagen)で、1885年製の世界初のガソリンエンジンで走るオートバイ。ライトヴァーゲンは「跨り車」という風に訳することができるでしょうか。ライト(Reit-)とは、ドイツ語で馬に乗る、馬に跨るという意味で、サドルもまるで馬の鞍のようですね。
原動機付自転車ともいえるかもしれませんが、エンジンはV型でしょうか。
オーストリア=ハンガリー帝国時代のチェコのラウリン&クレメント社製で、同社は自動車の製造も手掛け、後にシュコダに買収されたのだそうです。
エンジンとサドルを付けたキックボードのようなスクーターも展示されていましたが、この辺りになると、色々な自転車や二輪車がありすぎて、どこの国の何というメーカーの物かは不明。
そして上の三輪の自動車は、ベンツのパテント・モトーアヴァーゲン(Benz Patent Motorwagen)ではないかと思われます。世界初ともいわれる自動車ですね。
同時期にドイツで設立されたダイムラーとベンツは後に合併しますね。
この頃にはたくさん展示されている車をすべて覚えることは私にはもうできませんでした。しかし、まだまだたくさんの車やバイクがあります。