ドイツのど真ん中!

ドイツのど真ん中、ゲッティンゲンやアイヒスフェルトを紹介しています。

デニッシュはデニッシュじゃない

昨年11月から12月のドイツの旅では、1泊2日でお隣りのデンマークにも足を伸ばしました。

デンマークへの遠征では、クロ(Kro)というデンマークの伝統的な宿に泊まりました。

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クロはデンマークの都会ではなく、郊外や田舎にある宿、旅籠で、その地域の宴会場のような役割も果たしたのではないかと思われます。また、デンマークの王様が地方を巡幸した時などには宿泊したのではないでしょうか。

上の画像が昨年冬の旅で泊まったユトランド半島南部のクロです。

こうしたクロも宿泊比較予約サイトから予約することができます。

ただし、私が泊まった部屋は画像中央の屋敷ではなく、左側に見切れている離れのような宿泊棟でした。

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1泊2日の強行軍でドイツのど真ん中からレンタカーで500km以上走って、クロに午後4時近くにたどり着き、夜はデンマークシンガー・ソングライターアンヌ・ドゥールト・ミキルセンのクリスマスコンサートを聴きに行ったりとまともに夕食を食べることができず、翌朝ようやく画像のようなビュッフェの朝食で食事にありつけました。チーズもハムも濃厚な味でとても美味しかったです。

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この朝食のビュッフェでは、ミニサイズではありましたが、本場デンマークのデニッシュ・ペイストリーも食べることができました。約14年ぶりに食べたデンマークのデニシュでした。

しかし、この日本では「デニッシュ」とも呼ばれる甘いお菓子のようなパンをデンマークではデニッシュとは呼ばないのだ、と昔デンマーク語を勉強した時にデンマーク人の先生に教えてもらいました。

では、デニッシュをデンマーク語で何というのかというと、ヴィーナーブロド(wienerbrød)というのだと教えられました。つまり、ウィーンのパンということなのです。これは、オーストリアのウィーンから招かれた菓子職人が作ったからヴィーナーブロドというわけです。

日本で「デニッシュ(denish: デンマークの)」と呼ばれるパンが、そのデンマークでは「ウィーンのパン」と呼ばれているという不思議な現象が起きているわけですね。

蛇足になりますが、英語のbread(ブレッド)が、ドイツ語ではBrot(ブロート)、デンマーク語でbrød(ブロド)と、語中の母音が少しずつ変化するとてもよく似た単語です。

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さて、上の画像のデニシュは帰国してから近所のパン屋さん「リトルマーメード」で買ってきた物です。
以前、このブログでドイツのバウムクーヘンよりも日本のバウムクーヘンの方が美味しいと書きましたが、デニッシュもまた日本の方が美味しいかもしれないと私は思っています。きっとデンマークになど一度も行ったことのない日本のパン職人さんがデンマーク人よりも美味しいデニッシュを焼いているのではないでしょうか。研究熱心で手先が器用な日本人は本場よりも美味しい物を作り上げてしまうもなのです(これがいいことなのかは分かりませんが……)。

そういえば、広島のパン屋さんアンデルセンコペンハーゲンに店を出したというのを少し前にテレビで見たことがあります。デニッシュを焼くというのは、とても手間がかかるらしく、デンマークでもデニッシュを焼くパン屋さんが減っているのだとも言っていましたね。