ドイツのど真ん中!

ドイツのど真ん中、ゲッティンゲンやアイヒスフェルトを紹介しています。

ゲッティンゲンでナチスの痕跡を辿る

昨年、2018年の冬のドイツの旅では、モーリンゲン(Moringen)にある強制収容所記念施設を訪れました。

モーリンゲンにかつてあったナチスドイツ時代の強制収容所は、ホロコーストの犠牲となったユダヤ人を収容したものではなく、政治犯ナチスによって不適格と判断されたドイツ人が主に収容されていました。
日本へ帰国後も引き続きドイツのど真ん中にあったナチス強制収容所について調べてきました。そうしたら、実はゲッティンゲンにもナチスの関連施設があったことがだんだんと分かってきました。
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上の画像は、ゲッティンゲン北部のヴェーエンデ(Weende)という地区にあるプロテスタント系の病院です。ここに第2次世界大戦末期にナチス親衛隊(SS: Schutzstaffel)の騎兵学校がありました。

その根拠、出典が http://zwangsarbeit-in-niedersachsen.eu/de/virtuelle-ausstellung/kz-haeftlinge/weende.htmlhttp://www.zwangsarbeit-in-goettingen.de/texte/buchenwald1.htm です。

1945年2月3日からはブーヘンヴァルト強制収容所から32名の男性収容者が移送され、強制労働に当たらされ、ブーヘンヴァルト強制収容所の司令支部としても機能していたようです。

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先日までのドイツ初夏の旅では、ナチス親衛隊施設があったというヴェーエンデにある病院へ行ってみました。私が2週間宿泊したニコラウスベルクから山を下りていけば、まさにそこはヴェーエンデ地区です。その気になれば、歩いていける距離にあります。上の画像が南に面した病院の正面入り口です。

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この建物ですが、上に示したリンク先にある画像の建物を改装したものなのではないかと思われます。強制収容所司令支部ナチス親衛隊騎兵学校の宿舎が入っていたのではないでしょうか。

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病院をぐるりと一周回ってみましたが、建物は増築され、南側は患者さんたちがゆったりとくつろげる庭園となり、現在ナチスの関連施設だった痕跡は微塵も見つけられません。ここで働く医師や看護師、職員たちもここがかつてナチスの強制収容施設だったことを知る人はほとんどいないのかもしれません(この病院のホームページにもナチスの施設だったことは記されていません)。ナチス強制収容所が現在、病院として人に役立つ施設となっていることはもちろんいいことに決まっていますね。

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病院の駐車場の一角では、時期的に白アスパラガスやイチゴを売るスタンドが立ち、実にのどかなもので、ナチスの痕跡はまったく感じられません。実際、ゲッティンゲン在住のドイツ人の友人はこの病院が以前ナチスの施設だったことを知りませんでした。私自身もかつてゲッティンゲンに暮らした時には、ここがナチスの施設だったとは知る由もありませんでした。しかし、この病院の前の道路を使ってスーパーに買い物によく行っていたので、ここが昔ナチスの施設だったと知り、少々ショックを受けました。そして、今なおこのナチス兵学校と強制収容所司令支部については多くのことが明らかにされていないとのことです。