ドイツのど真ん中!

ドイツのど真ん中、ゲッティンゲンやアイヒスフェルトを紹介しています。

アインベックのマスタードスープを作ってみた

新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛が続いているので、自宅でアインベックのマスタードスープ(Einbecker Senfsuppe)を作ってみました。

このマスタードのスープは、昨年2019年のドイツの旅でビールのふるさと、ニーダーザクセン州アインベック(Einbeck) の町で食べました。マスタードからし)がアインベックの町のもう一つの特産品なのです。昨年の旅で私はアインベックのマスタードをお土産に買って帰りました(下の画像、右側の瓶詰めのマスタード)。 そのマスタード を使います。

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アインベックのマスタードスープのレシピはこちらなのですが、ドイツ語なので、私が翻訳し、私なりに解釈して作りました。

材料:

エシャロット 4個

セロリ 100g

長ネギ   100g

サラダ油 大さじ2

お好みで塩、胡椒、砂糖、タバスコ

小麦粉  大さじ1

白ワイン 200ml

野菜ブイヨン 1リットル

生クリーム 200ml

サワークリーム 100ml

バター 100g

マスタード 大さじ5(今回は「アインベッカー・ゼンフミューレ」のマスタードとドイツのトミー:THOMYというブランドのマスタードを使用しました)

 

作り方:

エシャロット、セロリ、ネギを細かく切ります(今回はエシャロットが手に入らなかったので、玉ねぎで代用しています)。

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細かく切った野菜をサラダ油で炒めます。

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マスタード、塩、胡椒、砂糖を加えて5分ほど火にかけます。

オリジナルのレシピでは3種類のマスタードを使っていますが、今回はアインベックにあるからし屋さんアインベッカー・ゼンフミューレ(Einbecker Senfmühle)」マスタードとチューブ入りのTHOMYのマスタードの2種類を同じ量ずつを使いました。

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小麦粉を粉ふるいにかけながら全体にまぶしていきます。

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白ワインを3回に分けて注ぎ伸ばして、煮込んでいきます。そして、野菜ブイヨンを溶かした水1リットルをくわて、半分くらいになるまで煮詰めていきます。生クリームを加えて20分ほどとろ火でコトコト煮ます。塩、胡椒、砂糖、タバスコで好みの味に整えましょう。お好みでマスタードを皿に加えてもかまいません。

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スープをさらに盛り付け、サワークリームでのせて、バターも溶かします(ただし、日本人にはくどくなると思い、今回はバターを溶かしませんでした)。

ご覧のような淡い黄色のスープができ上がり、事前に茹でてあったカリフラワーも盛り付けました。

食べてくれた身近な者は「美味しい」と言ってくれましたが、私としてはやはり美味しいというよりも刺激的な味がしました。生クリームも日本国内で売っている脂肪分の少ない物を使いましたが、ここはドイツ式に脂肪分の多い生クリームを使ったほうが美味しく仕上がるかもしれません。また、セロリやネギをフードプロセッサーにかけた方が口当たりや舌触りが良くなるなという改良点も見つかりました。近日改めてマスタードスープを作ってみたいと思います。また、新型コロナウイルスによる混乱が収まり、ドイツに行けるようになったら、アインベックにオリジナルのレシピにある3種類のマスタードを買いに行きたいですね。

このマスタードスープに興味を持った方、この外出自粛の時期に一度トライしてみてはいかがでしょう? 

アインベックはドイツのここにあります。

 

ドイツのど真ん中 2020は……

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3月の下旬にドイツとヨーロッパは夏時間に切り替わり、今週はイースター(復活祭)を迎え、本格的な春となりました。

しかし、世界中で新型コロナウイルスの感染が拡大し、ドイツのど真ん中のゲッティンゲン(ゲッティンゲン市及びゲッティンゲン郡、ノルトハイム郡)でも4月14日の時点で25人の死者が出ているそうです(ゲッティンゲンの地元新聞「ゲッティンガー・ターゲブラット: Göttinger Tageblatt」のホームページから)。

2016年から毎年ドイツのど真ん中を旅して、今年も訪れるつもりでいましたが、このような状況ではドイツに行ける見通しが立ちません。

ゲッティンゲンやドゥーダーシュタットに住む友人にメールを書きましたが、食料品を買いに行く以外は家にいるとのことで苦しい生活を送っているようです、

彼らも私もコロナウイルスの感染を免れて(あるいは、仮に感染したとして、回復して)、今年2020年のクリスマスの時期にドイツのど真ん中を訪れて、一緒に美味しいグリューワインを飲めることを今は願っています。

感染の機会を極力減らして、どうにかこの苦境を乗り切っていきたいものですね。

画像は昨年も訪れたゲッティンゲン近郊のプレッセ城の塔から景色です。

レープクーヘンあれこれ 2 ディンケル(スペルト小麦)のレープクーヘン

新型コロナウイルスの感染拡大による社会の混乱でなかなかブログを書く気持ちになれずにいました。3月最後の日にブログを更新したいと思います。

コロナウイルスがドイツやヨーロッパで本格的に流行する前の、今年1月下旬から2月の上旬に身近な者がニュルンベルクに出張したので、お土産にレープクーヘン(Lebkuchen)をいくつか買ってきてもらいました。

前回のブログでは、焼きリンゴ味のレープクーヘンを紹介しましたが、今回はディンケル(Dinkel: スペルト小麦)のレープクーヘンをアップしようと思います。

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 ディンケル(スペルト小麦)は古代小麦とも呼ばれる小麦の原種です。このディンケルのパンは昨年すでに紹介したとおり、普通に使われている小麦よりも栄養価が高く、独特の風味があります。また、小麦アレルギーが出にくいそうです。

ニュルンベルクのレープクーヘンの銘店シュミット(Lebkuchen Schmidt)

がこのスペルト小麦のレープクーヘンを販売していました。ご覧のようにチョコレートでコーティングしたレープクーヘンでした。しかし、チョコレートの味とシナモンの香りが強すぎて、残念ながらスペルト小麦の風味はよく分かりません。 

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普通の小麦粉のレープクーヘンと食べ比べてみましたが、やっぱりよく分かりませんでした(左がスペルト小麦のレープクーヘン、右が小麦粉のレープクーヘン)。いずれにしてもディンケルのレープクーヘンはきっと健康にいいんだろうと思いながら美味しく食べました。

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ところが、シュミットのディンケルのレープクーヘンのパッケージに中世ドイツの女子修道院長で薬草学の祖とされるヒルデガルド・フォン・ビンゲン(Hildegard von Bingen)のディンケルについて言葉がプリントされているのを見つけました。

"Der Dinlek ist das beste Getreide, er ist milder als andere Getreidearten, und bereitet dem, der ihn isst, rechtes Fleisch und rechtes Blut, macht frohen Sinn und Freude im Gemüt!" 

Hildegard von Bingen

「スペルト小麦は最高の穀物であり、他の穀類よりも穏やかで、食べた者に健康な肉体と健康な血をもたらし、心に明るい気分と喜びを与える!」

ヒルデガルド・フォン・ビンゲン

シュミットのホームページをチェックしてみたところ、現在はディンケルのレープクーヘンを販売していないようです。昨年のクリスマスシーズン向けの期間限定商品だったのかもしれません。新型コロナウイルスの混乱が収まり、今年のクリスマスシーズンにドイツへ旅行できるようになったら、ぜひ探してみてはいかがでしょうか。

レープクーヘンあれこれ 1 焼きりんごのレープクーヘン

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1月下旬から今月2月の上旬に身近な者がドイツのニュルンベルクに出張したので、お土産に銘店シュミット(Lebkuchen SCHMIDT)レープクーヘン(Lebkuchen)をいくつか買ってきてもらいました。

レープクーヘンはニュルンベルク名物の焼き菓子です。小麦粉やナッツ類、はちみつ、シナモンなどの香辛料でできた生地をオブラートの上にのせて焼き上げたもの。しかし、今回紹介するレープクーヘンは定番ではなく、何と 焼きりんご味(Bratapfel)

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一見して砂糖衣の定番のレープクーヘンなのですが、生地にりんごが練り込まれています。

元々レープクーヘンはクリスマスの時期のお菓子とも言われていますが、りんごの味のするレープクーヘンはまさに冬にぴったりです。後味に爽やかなりんごの香りが鼻腔に立ち昇り、甘酸っぱいりんごの味をしっかりと感じます。まさに焼りんご。とても美味しいレープクーヘンです。4枚入りの箱入りで6.30ユーロ。ドイツの菓子メーカーもいろいろと新製品を開発しているのだと感じさせられました。

ドイツ、木組みの家の言葉 7 父祖より受け継いだもの

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            WAS DU ERERBT VON DEINEN VÄTERN HAST,

                      ERWIRB ES, UM ES ZU BESITZEN.

                                                  お前が父祖より受け継いだものを

                                                   己のものにするために獲得せよ。

 

ニーダーザクセン州ホルツミンデン(Holzminden)という町のマルクト広場にある「手工業の家(Haus des Handwerks)」と呼ばれる木組みの家の梁に刻まれている言葉です。若い職人に向けられた言葉でしょうか。しかし、よく調べてみたところ元々は文豪ゲーテの言葉のようです。

このゲーテの言葉は人気があるのか、以前ドゥーダーシュタット(Duderstadt)にある家の壁にも書かれてあるのを見たことがあります。

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ちなみに、ホルツミンデンの「手工業の家」はこのような外観で、梁には上のゲーテの言葉以外の言葉も刻まれています。

 

ドイツ、木組みの家の言葉 6 ある者は…

昨年末以来、ブログの更新がひと月以上止まってしまいました。冬場はネタ枯れに陥ってしまいますが、今日からまた再開していこうと思います。                       

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                                Der Eine erdacht's,

                                der Andere verlacht's, 

                                was macht's.

 

                                               ある者が何やら考え出し、

                                               もう一人は嘲笑う、

                                               それは何なのか、と。

 

ドイツのど真ん中にアイヒスフェルト(Eichsfeld)と地域にあるドゥーダーシュタット(Duderstadt)の木組みの家の壁に書かれていた言葉です。erdacht's, verlacht's, was macht's で韻を踏む意味深な金言です。

 とてもよく似た言葉がゲッティンゲン(Göttingen)でも見つかります。

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                                      Einer acht's

                                      der andre

                                        verlacht's

                                      der dritte

                                        betracht's

                                      was macht's

               

                                                                   ある者は何やら気に留め、

                 もう一人は嘲笑い

                 三人目は観察する

                 それは何なのかと

ヴィルヘルムスプラッツ(Wilhelmsplatz)近くのブルク通り(Burgstraße)にある家具屋さんの壁に書かれている言葉です。acht's, verlacht's, betracht's, was macht's で韻を踏んでいます。

確か、これらに似た言葉をハルツ山地のヴェルニゲローデ(Wernigerode)の市庁舎やシーアケ(Schierke)でも見たことがあります。

ドイツの木組みの家など、古い家屋にはこのような意味深な言葉が書かれていたり、彫刻されていることがあります。ドイツを訪れるたびにこのような言葉を撮影し書き留めて紹介しています。時にそれらは金言に思わず納得してしまったり、考えされられるものもあります。

ラインハルトの言葉

                          

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    Möge es uns niemals schlechter gehen als heute,

    wenn aber doch, last uns es uns mit Würde tragen.

今日よりも悪くなることは決してないだろう、

もし仮にそうだとしても誇りと共に背負ってゆこう。

 

2012年に癌で亡くなったドイツ人の親友ラインハルト・ブルコフスキ(Reinhard Bulkowski)が私に語ってくれた言葉です。彼もまた他の誰かから聞いた言葉です。呑兵衛の戯言だとラインハルトは言っていましたが、心に響く深い言葉です。今年最後のブログとして。